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雨音を聴くときのように...
by clover-f
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金木犀色の夢。
金木犀色の夢。_b0120001_20592813.jpg


金木犀が,辺り一面に香ります。

朝は,車のドアを開けて走ります。
お昼休みは,歯磨きをしながら,深呼吸。
夕暮れ時は,甘い香りに夢の入り口を見つけます。


私の職場には,8本もの金木犀の木があることがわかりました。
これまでぜんぜん気がつかなかったのだけれど
いつも通る長い通路に,8本。
次々に咲くその花たちに,感動する毎日を送っています。



通るたびに,深く深く。体がオレンジ色に染まるくらいの,深呼吸。



今日は,まだ咲き始めてまもない,花のエネルギーを
たくさん集めてまわりました。

ほんの少しの時間でも,両手にあふれるほどの香りの花びらたち。
生まれて初めての贅沢と,濃い香りにくらくらしました。


目的は,金木犀のお酒をつくること。


全然作り方なんて知らなくて,だいたいの感覚でやってみました。
たっぷりのお酒に,花びらを一斉に浮かべるのです。



8時間くらいたった今,お酒は,金木犀色に染まっています。




お風呂にほんの数滴加えて,金木犀浴を楽しめるし
アロマウォーターの変わりに,眠る前のシーツに一吹きできます。
それはきっと,金木犀の夢の中。


一年に一度しかない香りを,ほんの少し閉じこめて
元気が欲しいとき
リラックスしたいとき


素敵な香りに,包まれるといいな...
# by clover-f | 2008-10-08 21:14
月曜日の空の夕暮れ。
月曜日の空の夕暮れ。_b0120001_21445987.jpg
月曜日は,だいたい,200グラムの珈琲豆が,なくなる曜日で
近所の豆屋さんに買いに行くのだけれど,
ときには,日曜日になったり,火曜日になったり
その週によって,一日くらいはずれるのだけれど

お店にゆくと,運が良ければ,できたての珈琲を飲むことができます。
喫茶店ではないので,お店の主人が飲みたいとき,飲みたいように淹れた珈琲を
おすそ分けしてくださるのです。


今日も,いつもみたいに,お店のドアをカラカラと開く。
奥には,いつもの彼女が立っています。お店は,淹れたての珈琲の香り。


「いらっしゃるような気がして...。あ,でも,私も飲みたかったんです」


できたての珈琲を,温めたまるいカップに注いでくれました。
じん...ときました。




彼女の珈琲をいただくとき,香りをふんわりとまとって
ひとくち,口の中に広げるとき

おいしさと,もうひとつの絵が,浮かんでしまいました。



秋色のシャツを着た彼女が,窓から見える月曜日の空の夕暮れに
ほんの少しだけ私を思い出しながら,ふわりと,淹れてくれた姿。



なんて,幸福なのでしょう。



ゆっくりと,大切に味わいながら
ほんの20分ほど,小さな会話を楽しみました。


そしてまた,私は職場へ戻ってゆくのでした。
なんだか,軽やかな足取りになって...


珈琲が,結んでくれる出逢いに
私は恵まれているなぁと,

最近,よく思うのです。




 
# by clover-f | 2008-10-06 21:49
日曜日,大地に寄り添う。
日曜日,大地に寄り添う。_b0120001_1919118.jpg


以前,種を蒔いていた,ごぼうが,そろそろ定植できる頃になったので
雨の合間に,植えることができました。

元気に丈夫に育ってね。
おいしい土の栄養を,たくさんもらってね。

そんな事を言いながら,ごぼう用に,畝は,高く高く盛りました。
ポットで,約50個分。
1ヶ月ほど前,石灰や,牛糞,鶏糞,もみがらに,米ぬか。
たくさんの肥料を,大事に撒いて,耕していました。
自慢の土が,できあがっていたのです。
(実は,肥料は馬糞が良いそう。馬といえば...あの場所)


そんな土に支えられ,高い畝に一列に美しく並ぶ苗を見るのは
いつもながら,清々しいです。

となりの畝では,小松菜と,玉葱と,キャベツと,ブロッコリーが
すくすくと,秋風の中育っています。

マルチになるのは,そばにある雑草たちの役目。
ちょうど,大屋さんが草刈りをしてくれていて,ふかふかの藁のような
上等の雑草マルチができました。


今年の雑草も,きっとこれが最後と思い,
そこら中にあった雑草も,納屋に大量に運びました。
使わなくなったよしずの上に乗せて,乾燥させています。
厳しい冬は,この乾燥させた雑草マルチが,きっと暖かなお布団になって
野菜たちを守ってくれるでしょう。

草のいい香りと,雨のぱらぱらと落ちる音を背中に
今夜の夕食作りへと,家に帰って行くのでした。



今夜は,冷たい雨が降り注いで,部屋の床が冷たく感じます。
そんなときは,温かい煮込み料理の出番です。
買ってきたゴボウと,湧水町の里芋。そして鶏肉を,薄味で煮ました。

そっか,来年は,里芋も,この畑でつくろう。
今年の夏,緑の野菜は,まったく買わずにすんだことを思うと
少しのお肉やお魚を除いて,ほんとうに,自給自足になりそうな予感。

煮込んだお鍋からは,ゆったりとした湯気と優しい大地の香り
部屋中に幸せを満たしてくれています。
うっすらと,窓ガラスもくもっているみたい。

ゆっくりと,お風呂に入って,
温かい珈琲を飲もう。

冬の香り。
命を育める土との出逢いに,感謝です。




 
# by clover-f | 2008-10-05 19:40
静かな時の訪れ。
静かな時の訪れ。_b0120001_21405496.jpg


春の霧雨の,筍
初夏の夜の,マツリカ
初秋の道の,葛の花

土の香りも
雨の香りも
お日さまの香りもあるのだけれど

胸がぎゅっと切なくなって
涙がこぼれそうになる香りは

秋を物語る,金木犀の花


日本で,一番始めに香り始める金木犀は
どこに暮らす金木犀なのでしょう


私が暮らす土地では,
先週の金曜日の夜,その季節が訪れました。
この土地で,初めての金木犀の香り

日曜日の今朝は
起きて窓を開けると,辺りいっぱいに,甘く柔らかな香り
こうやって,パソコンで書いている私のそばにやってきています。


いつからこの香りが好きなのかは分からないけれど
生まれて初めてこの香りと出逢った時のことも,覚えていないのだけれど

それが,たとえば
まだ言葉が分からない時だったとしても
小さな心の扉を開けて
そっと招き入れたのだと思います。


それからこの季節になり,その香りに出逢うと
扉をそっと静かに開き,これまでの記憶の頁に
織り重ねてゆくのです。

まるで,記憶の本を,綴るように...


今年で30頁目になるその香り
十分に優しく,静かな時の訪れを教えてくれました。


金木犀の香りを楽しめる心,穏やかな時間に
今年も感謝をしています。





今日は,あの町の金木犀に
もう一度,出逢ってこようと,思います。
# by clover-f | 2008-10-04 21:53
安らぐ季節と。
安らぐ季節と。_b0120001_17302129.jpg


秋と春,どっちが好き?
そう質問されて,すぐ答えるのは,秋。

輝かしい春の息吹は,それだけで満たされ
何にも変えられない生命の豊かさを感じます。

けれど,秋の,すべてが少しずつ
穏やかにおしまいになってゆく空気は
ずっと緊張し続けた肩の力が,ふっと抜けてゆくようで
呼吸の自由さを感じるのです。

先週のドライブで走った森の木々
夏の勢いから解き放たれて
安らかに,その場所にただ存在しているように感じたのでした。

初夏のドライブでは,
緑の葉っぱが指先から出てくるような生命感に包まれて
秋のドライブでは,
ほっと穏やかな気持ちで,ただそこにあるだけで十分な,和らいだ気持ちです。

木と共に生きる
というより,
人間そのものの存在が,木と同じ。
なのでしょう。
# by clover-f | 2008-10-04 17:44