雨音を聴くときのように...
by clover-f
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花の呼ぶ声。
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季節が一年,巡ったことを,この花が教えてくれました。うす桃色の,ローマンヒヤシンス。

普通のヒヤシンスとは違い,古来昔から在る品種のひとつなんだそう。


昨年はじめてこの庭に訪れた時。
しばらく主を失っていたのでしょう。手入れもほとんどされず,草もまばらに伸びていて,大地の息が,かすかに聞こえるくらいの庭でした。

前の主が使っていたらしい鉢が,あちこちに転がっていて,コンクリートブロックや,雑草だらけの鉢。固くなった土。だんご虫の死骸。雨水がたまって緑色に染まった受け皿。そんなものたちのそばで,ひっそりと,申し訳ないような姿で,けれども命を懸けて,咲いていた花が,実は,この花だったのです。

私がこの家を決めて,契約をした理由はたくさんあるけれど,なんとなく,この花が待っていてくれたような,気持ちもしたことも,理由のひとつかも知れません。


数日後の引越の日。


玄関のポーチに置いていたこの花は
私の到着を喜んでくれたのでしょうか。
美しく,優しい色の花びらを,初めて出逢ったときよりも力強く,咲かせていました。

たくさんの荷物を背負った車の窓からその姿をみて,
やっぱりこの家にきて良かったと,思えた気持ちを,思い出しました。



昨年の秋。
いくつもの球根を植えるとき,もちろんこの花も植え直すことに。
固いい土にもかかわらず,分球していました。
植物の生命力に,触れた瞬間の感動でした。


そして,春。


去年よりも,豊かに,そして,しなやかに。
私を待っていてくれた,あのときの花が再び咲きました。

吸い込むたびにめまいがするくらい,深い香りと,優しい色


その隣の鉢では
彼女から生まれた新しい命が3つ咲いています。


彼女と同じ香りと,色の姿で
可愛らしく,ほほ笑んでいます。



 
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by clover-f | 2009-02-28 15:28
彩りの世界。
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初めの夜は,テレビにDVDをつけて,音もごりごり出して,食い入るように見つめていた小さな瞳は,心をこめて作った料理と,蜜蝋の灯に心をときめかせ,幸福なまなざしでその日を終えました。

そして次の日。

雨にも負けず畑で冒険,そして,ふらり見つけた画用紙と,水に溶ける色鉛筆で,彩りの世界へ旅立ちました。小さな背中は,画用紙に向かって一生懸命描いています。


お母さんは言いいました。

「テレビをつけなくても,ボウケンジャーを見せなくても。
      こんなにおとなしく,何かに夢中になれるなんて。」



私の家を訪れた次の日。
テレビの音は,もうずいぶんと長い時間,聞こえていませんでした。



いつもの生活で,電波にとげとげになった体から
小さな手と,色とりどりの色鉛筆を通して
そのとげとげが画用紙に,するすると溶けてゆくのが見えました。



私は子どもを育てたことは,ないけれど
子どもがすこやかに暮らせる事を,伝えることには自信があるなぁって思うのです。


たとえば
森で一日中遊ぶとか。
布団の国で,たわむれるとか。
おいしいごはんを,時間をかけて作るとか。


手を動かして
足を動かして
口を動かして

5感でたくさんの事を感じて


そして最後に,心が動くのですね。

テレビの彩りよりも
色鉛筆の彩り。



小さな背中は,幸福の笑顔に満ちていました。



私は,その笑顔に
ありがとうと,心から伝えたのでした。








 
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by clover-f | 2009-02-26 20:22
空が春を祝福した日。
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するりと,あたたかな風が,家の中をすりぬけていきました。
薄いレースのカーテンは,ひらひらと優しいダンスをしています。

森の中からは,チチチ。ピピピ。
たくさんの鳥たちのおしゃべりが聞こえます。春の準備に忙しそう。



その日は,こんな日でした。




空が春を祝福した日。





私は,布団を干しました。
洗濯機は,4回,回しました。

どれだけ動いても,
どれだけ寝そべっても


春は,見えないお布団のように,私を包むのです。
そして,透明な羽を私にくれるのです。



優しい気持ちと
強い気持ち。

お日さまのちからと,風のちから。

羽は,すべてのちからを持っているようです。




4回まわした洗濯物。
布団も,シーツも,タオルもクッションも。

もう干すところがないよ。

そう思ったとき,家のそばにいる枇杷の木が,言いました。




「大きなシーツをぼくに任せて!」






木と,風と,お日さま。



ありがとう。




 
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by clover-f | 2009-02-23 21:40
大地のちから。
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今週末,友人と子どもが3人
私の家に泊まりに来ることになっています。

決まって私の心をわくわくさせるのは,
もちろん,献立作り。

まだ3歳前後の子どもが2人に,
中学生の女の子。

夕ご飯は,やっぱり子どもの好きな物を作ってあげたいなぁと,
あれこれ考えています。

台所仕事とか,おふろとか。
手を動かしたり,じっとしたりしても献立を考えてしまうので,だんだんと想像のテーブルには,お料理がひとつひとつ,増えてゆくのがおもしろい。

そして,中学生の女の子
「一緒にパンを作りたい!」なんて言ってくれてるらしい。
もう,大歓迎。
子どもに料理を教えるほど,嬉しいことは,ないのです。


体に優しい食べ物を,子どもが手作りできること。
きっと未来は明るいなぁ。
そんなことを,考える水曜日の夜。


私が幼い頃教わった,食べることの楽しさと,豊かさ。
そして大地のちから。

記憶の中に,そのとき味わった香りも
食感の音さえも,よく覚えているのです。



ふるふると膨らむパンをこねる心地よさと
焼きたてのふっくらとした香ばしい匂いが
彼女の記憶に残るといいな。




さて。
それでは,これから
お茶に出すお菓子でも,作るとしましょう。



 
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by clover-f | 2009-02-21 12:21
咲こう。咲こう。咲こう。
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もう,ずいぶんと前。友人にもらったえらぶゆり。忙しさを理由にしてしまって,「咲いたよ!」の報告もなにもせずに,一年が経ってしまいました。

でも。
ちゃんと分球したのです。1株だった球根は,今年は4つの芽を出してくれました。2つは咲かせて,2つは球根を育てることを優先してみたいと思います。球根を太らせることに挑戦です。



 
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by clover-f | 2009-02-18 17:12
ふくよかな幸せ。
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昨夜は,友人が一人泊まったので,今朝はゆっくりと庭を散策する時間がなかったのだけれど,このところの温かさのためでしょう。去年の秋からじっくりと寒さに当てていた球根たちが,一斉に花を出し始めています。

インターネットで,球根屋さんからめずらしい球根も仕入れていました。色も,かたちも。どんな姿を見せてくれるのか,とっても楽しみ。

そして,その球根のひとつが,先日伺った友人のお土産になりました。いつだったでしょう。3号,4号の小さな鉢に2,30鉢育てていた球根のひとつです。ふくよかな球根がゆっくりと咲き,たくさんの子どもを増やしていくように,花からの穏やかな気持ちと,幸せの種が,たくさん増えたらいいなぁと思うのが,私の願い。

あとほんの少しで花びらを見せるくらい育った球根を嬉しそうに
小さな子どもを見つめるように受け取ってくれる友人の存在も。
私にとっては,しあわせなことです。

その幸せの笑顔は,何よりも嬉しいのです。



今日は久しぶりに冬の風が吹き抜けましたね。
三寒四温です。


 
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by clover-f | 2009-02-17 21:32
ハリハリと食べる。
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今日は,生まれて初めての人間ドッグに入っていました。
すべて順調で,「問題なし」との言葉に,なんだか,新しい気持ち。
ハリハリとした感じ。

ただ...


「ゆっくりでいいから,やせましょうね。」

という言葉に,これまで以上に野菜を意識して採ろうと,決心。


近くの物産館で,ぶりっぶりのブロッコリー80円を見つけたので,2つ購入。
帰宅して,ブロッコリーを蒸しているところに,電話が鳴りました。

職場の2人が,仕事の打ち合わせに来たのです。

と,いう口実で。


ごはんをもりもり食べました。
突然の訪問だったけど,ちょうどよい献立を作ることもできて,なんだか嬉しい。

今日の献立。


地元の新米をふっくらと土鍋で炊いて
取れたてのしいたけと,わかめの味噌汁。
新ゴボウのきんぴらと,大根の葉っぱの炒め物。炒り豆腐。
ししゃも。ブロッコリー。
そして,友人に貰った有精卵の卵かけご飯!


最高の食卓でした。









+++

写真は,畑で取れた菜の花。
これまで食べたなかで,みずみずしくて一番おいしかった!
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by clover-f | 2009-02-16 22:53
いつか,手を結ぶ日に。
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静かな丘のうえは,まだほんの少し冷たい風がふきます。
この場所は,小さな畑があって,大きな牧草地がある場所。

いつか,こんな家を建てられたらなぁと,思う場所。

昨夜はひさしぶり,ちょっとしたお酒屋さんで,飲みました。
隣に座った方と,畑のことで盛り上がり,意気投合。

建築関係の方だったので,森の中の電気の引き方,下水道の費用などなどの質問攻めも。
森の中に家を建てることは,そんなに難しいことではないらしい。税金のこととか。知らないこと,たくさん教えて貰ったのでした。


「廃材ください! 家具作りたいの!」

って言ったら,「若いのにねぇ~」って目をくりくりさせていました。



夢の中に,現実をみて,
現実の中に,夢を見る。


夢と現実が,いつか手を結ぶ日に...
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by clover-f | 2009-02-15 20:42
春の夜を奏でましょう。
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深い海の底にねむる魚たちも,
いくえにも重なる落ち葉の下の,静かな土にひそむ虫も

ぐるりと底から持ち上げられるくらいの,突風。

でんぐりがえしで,目を回していることでしょう


春の嵐は,突然。


空の雲も,つないでは切れ,つないでは切れ,足早に去ってゆきます。


庭に転がる鉢の音
バケツは,時折,カンカンと音をたてます。

誰かが窓をぐわんとたたく音も聞こえて,私は心臓をどきりとさせるのです。



いつもなら,しんとしている夜10時
今夜は,すべてが目覚めた様子。


明日には,庭一面
今宵のお祭りのなごりをみることができるでしょう。



しいたけの菌を打ち終わったくぬぎの木は
それでも,どっしりとしているはず。

森へ並ぶ時を,待っている姿。







さて。
今週も,よく働きました。


いつもの時間に,心地よく眠りにつこうと思います。
今夜の音楽は,森と風の贈りもの。


ごうごうと,まるで荒れる海のように。
さらさらと,光る小川のせせらぎのように。
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by clover-f | 2009-02-13 21:50
春の風,森の手のひら。

外の木々が,ごうごうと風にゆられる音がします。
真冬の寒々しい音じゃなくて,湿り気をおびていて,温かい風。

春の嵐。


温泉に行った帰り,車のドアを開けると
体が持ち上がりそうな風に吹かれました。

突風という風じゃなくて,
ふわりと吹いて,体が持ってゆかれる感じ。


いつも,「お帰りなさい」を言ってくれる木が
長い手を,にょろにょろと伸ばし,こちらにやってきました。

私も,両手を広げました。
もう,あと5センチほどで,手がつなげた。



春の嵐に生まれた
緑色の,森のてのひら。
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by clover-f | 2009-02-12 22:25